【これぞFXボリンジャーバンドの本質だ】チャートテクニカル分析での見方・使い方について徹底検証!!
ビジュアル的にもわかりやすく、人気の高いボリンジャーバンドであるが、誤った使い方をすると効果的に利益を上げられないどころか大きな損失を被ることにもなりかねない。あなたは間違った使い方をしていないだろうか。この記事ではそこを徹底検証したい。
目次
ボリンジャーバンドとは?
このボリンジャーバンドは、移動平均線(MA)に数学や統計学で使われる「標準偏差」や「正規分布」の考え方を取り入れて、ジョン・ボリンジャー氏によって考案されたトレンド分析のテクニカル指標である。
ボリンジャーバンドは、「正規分布」や「標準偏差」の考え方をもとに、相場の動くであろう範囲を予測する指標だということも言える。
標準偏差は一般的にσ(シグマ)で表される。
ボリンジャーバンドの構成要素
ボリンジャーバンドは、一般的にミッドバンドを含めた合計5本もしくは7本のラインで構成されている。
このチャートではわかりにくくなるのであえて±3σ(シグマ)のラインは表示していない。よって、5本で構成されている。
上から、価格より高い位置にいることが多いラインが+2σ(シグマ)、その下が+1σ(シグマ)、真ん中の赤いラインがミッドバンドつまりはSMA(単純移動平均線)、その下が-1σであり、その下が-2σになる。
ボリンジャーバンドの特性
ボリンジャーバンドの特性は大きく2つある。
・ミッドバンドと価格の位置関係からマーケットのトレンドを教えてくれるほか4本のバンドを通じてボラティリティを教えてくれること。
・(図の黄色の部分で)ボリンジャーバンドは、標準偏差を使ってミッドバンドから一定倍率乖離させるものになるので、その時間軸でバンドの幅を見た時には常に等しくなること。
ボリンジャーバンドの正規分布とは
正規分布とは、統計の基本となる最も重要な確率分布のことである。
さらにかみ砕いて説明すると平均付近が最も高くて平均から離れるにつれて穏やかに低くなっていくような左右対称の釣り鐘型の分布のことをいう。
この分布なら±1σに収まる確率は68.26%、±2σに収まる確率は95.44%、±3σに収まる確率は99.73%になりやすくなる。
統計が正規分布になるものとして知られているのが
サイコロを複数回投げた時のサイコロの目の合計
全国の中学生の男女の身長分布
全国大規模模試の平均点
などである。
では、この正規分布はマーケットの価格変動にも当てはまるのだろうか。
ボリンジャーバンド最大の注意点1
上記で述べた正規分布の原則は、基本的にレンジ相場のような価格が平均した相場には当てはまるが、価格が大きく変動するマーケット価格には当てはまらないので注意を要する。よって、ボリンジャーバンドのエントリータイミングは価格が下方向なら+2σのタッチで売って上方向なら-2σのタッチで買いではない。
このような誤った使い方をしていると、思わぬ損失を被ることがある。
ボリンジャーバンドの誤った使い方の具体例
上の図は、GBP/USDの1時間チャートでボリンジャーバンドを期間20で表示させたものである。
よく言われる一般的な活用方法を用いてエントリータイミングをとらえていくこととする。
解説用チャート①の場面
チャートを左側から時系列に見ていくと、一つ目のエントリーポイント①になる。+2σタッチにタッチした局面であり、バンド内に収まる確率は95.4%なので、売りエントリーをする。
その後、価格は若干ながら水準を切り下げており、ここで売れば含み益が乗る局面となる。
解説用チャート②の場面
次を見ていくと②の地点で再びエントリーポイントが出現する。つまり、95.4%の確率で価格はバンド内に収まるから-2σタッチの買いエントリーである。すると、ここでも価格は上昇し、含み益が出た。
解説用チャート③~④の場面
以下同様に、③の+2σタッチで売り、④の-2σタッチで買いをすれば、思惑通りこの統計学的要素を真に受けてトレードすればすべての局面で含み益になったということになる。
解説用チャート⑤の場面
さらに⑤の場面では+2σタッチの売りでその後価格は大きく下落しているので、これまで以上に大きく利益が乗った局面となった。
あれ?-2σタッチで買い、+2σタッチで売りの方法で結構いけるじゃないですか。
ここからがポイントとなる局面だ。
解説用チャート⑥の場面
-2σタッチで95.4%の確率でバンド内に収まるということで買ったとする。
すると価格はしばらく横ばいをつづけたあと大きく下落している。統計学的にはバンド内に収まるのは95.4%という確率であるにもかかわらず、大きな損失となったということである。
解説用チャート⑦~⑧の場面
これはもう解説する必要はないだろう。⑦~⑧にかけて大きく下落しており、ここでも損失となったため、①~⑤で利益を確保してもあとの負けでトータルマイナスになってしまうこととなる。
あ!ほんとだ。せっかく5連勝しても全く意味がなくなりますね。
ここで知ってほしいのはボリンジャーバンドの標準偏差は正規分布でのみその有用性を発揮するということだ。
ボリンジャーバンドの標準偏差
「標準偏差」とは、ある期間の価格が平均値からどれくらいばらついているのか、分散しているのかを求めたものである。
+1σ~+3σのそれぞれの解は、ミッドバンドの値にそれぞれ標準偏差の1倍~3倍を加えたものとなり、-1σ~-3σのそれぞれの解は、 ミッドバンドからそれぞれ標準偏差の1倍~3倍を引いたものとなり さほど難解ということはないが、唯一難しいポイントは標準偏差の計算式である。
これには数学的要素が多分に盛り込まれており、ここで説明するにはかなりのページを割いてしまうため、ほかのページに譲ることとする。
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ボリンジャーバンドが標準偏差によって教えてくれること
①ボリンジャーバンドの中央線(ミッドバンド)が示すマーケットの方向性
②±1σ~±3σのバンド幅から見るボラテリテイの大きさ
①ボリンジャーバンドの中央線(ミッドバンド)が示すマーケットの方向性
ボリンジャーバンドのミッドラインは20日MA(移動平均線)を採用している。
したがって、ミッドラインが上向きに推移していて価格がミッドラインより上にあれば買い場を探るし、逆にミッドラインが下向きで価格がミッドラインより下にあれば売り場を探るというようにトレンドの切り分けに使うことができる。
②±1σ~±2σのバンド幅から見るボラティリティの大きさによるバンドの形
ボリンジャーバンドの見方で最も重要になってくるのはバンド幅の大きさである。
ボリンジャーバンドからわかること標準偏差の考え方を使った一定期間の価格のばらつき、つまりボラティリティをバンド幅の大きさによって示してくれることである。
バンド幅の大きさの局面によってそれぞれ名前がついている。
aスクイーズ(squeez)
バンド幅が最も縮小した状態のことをいう。
相場のボラティリティが最も低い状態で、相場では買いと売りが交錯するが、その均衡が保たれている状態になっている。
相場の大きな動きを生むエネルギーがどこかに溜まっているため、新たなトレンドの発生を知らせるシグナルとなる。
スクイーズとは、「押しつぶす」などの意味があり、その言葉の通り、レンジ帯の中で2本のバンドがローソク足をまさに押しつぶす形になっている。
bエクスパンション(expansion)
aからcに移行する間のバンド幅の拡大局面でなおかつボラテリティが拡大している状態をいう。
ちなみにエクスパンションとは、expansionと記述し、「拡大、拡張、膨張」という意味の言葉である。
cポージ
バンド幅の最大拡大の局面を指す言葉で、相場のボラティリティが最も高い状態を意味する。
トレンドの終焉を知らせてくれるシグナルとなる。
この3つがどんなものであるのかを実際のリアルトレードチャートで確認してみよう。
上記のチャートは、TradingView USD/JPY5分足リアルチャートである。
チャートに±3σまで表示してしまうとチャート全体がかなり見づらくなってしまうため、一般的には±2σ まで表示して使うトレーダーが多い。
③ボリンジャーバンドを使う際の注意点2
上述したように、ボリンジャーバンドには特徴的な動きがあることがわかった。
そこで、それらの特徴を踏まえたうえでボリンジャーバンドを実際のトレードでどう使うのかを解説してゆこう。
ボリンジャーバンドの正しい使い方は
それでは、ボリンジャーバンドをどのように使ったら勝率を上げることができるだろうか。
ボリンジャーバンドの考案者でもあるジョンボリンジャー氏もこのトレード方法を強く勧めている。
最後に捕捉であるが、バンドがポージの状態になったら決済を検討するというのは言うまでもない。
ボリンジャーバンドの本当の使い方-まとめ
- ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差や正規分布の考え方を取り入れたトレンド系のテクニカル指標である。
- 動きに特徴があり、そのバンド幅の形からスクイーズ、エクスパンション、ポージに分類される。
- 多くのトレーダーは、価格が-2σにタッチしたら買いエントリーし、価格が+2σにタッチしたら売りエントリーするといった逆張り的な方法でトレードしてきた。
- ボリンジャーバンドの正しい使い方とは、スクイーズしている個所を見つけ出し、価格が上向きなら+2σを上方向にブレイクした時点で買いエントリーし、逆に価格が下向きならー2σを下方向にブレイクした時点で売りエントリーをするといった順張り(トレンドフォロー)方式でトレードするのが正しい使い方である。