【FX移動平均線について】その本質とは何か
ほとんどのトレーダーがご存知の【移動平均線】。非常にポピュラーなインジケーターで、その具体的な内容や活用術まで把握していない方は少なくありません。移動平均線とは「ある一定の価格で出した平均値を結んだ線」ですが、その言葉の意味はよく知っていると思います。しかし、その平均値をただ単純に結んだだけの線がこんなにも多くのトレーダーに愛用されるはなぜでしょうか。また移動平均線がその効果を発揮するのは、具体的にどんな場面なのでしょうか。
そこでこの記事では、移動平均線が出来上がった経緯から有名なパラメーターの組み合わせなどの応用的な活用方法まで徹底解説していきます。
目次
そもそも移動平均線とは
移動平均線とは、慣性の法則を使って方向性を引き出し、価格動向を捉える分析手法で、トレンド系指標の代表格である。
今では誰もが知りえるようになった移動平均線であるが、歴史は長く、遡ること1960年代、JEグランビルがグランビルの投資法則として発表して世に広まった。
最近では、25日や75日を移動平均線のパラメーターとして、誰もが使うものとなったが、もともとグランビルの法則は株式投資2のために開発されたものであり、200日のパラメーターと日足を採用していた。
移動平均線は、ゴールデンクロスやデッドクロスといった複数本での分析が非常に有名であるが、単線分析の理解が欠かせない。
移動平均線の考え方
上の図は、AファンドとBファンドの年間の運用成績をまとめた表である。
このような優秀な運用成績を出すファンドがあった場合にあなたならどちらへ資金を投じるか。
一目見ただけではわかりにくいが、大きな点を挙げるとすれば6年目である。
Aファンド 58% Bファンド 69%であるが、これだけでも決めにくい。
こんなときどちらが有用なのかを確かめるときに移動平均という考え方で解決できる。
表の赤枠で囲った部分に注目してほしい。
これは、AファンドBファンドの直近5年間の平均を出して5年ごとに後ろにずらしていったものである。
移動平均線は、まさにこの考えで、後ろにずらした数値を線で結んだものということになる。
移動平均線は、ある一定期間の平均値を出して、それを線で結んで今後の方向性を捉えるものである。
上のグラフは、5年ごとの平均値を出してそれを線で結んでグラフ化したものである。
Bファンドは、最初はよかったが、だんだん落ち込んでいる。
Aは、最初は落ち込んでいたものの、4年~8年目でBを抜いた。
それではあなたは、AファンドかBファンドのどちらに資金を投じるだろうか。データだけ見ただけでは何もわからない。このように何年かをまとめて平均化してそれをグラフ化すると方向性が見えてくる。
このグラフを見ればAファンド(トレーダーA)が優れているというのは一目瞭然だ。
相場価格の移動平均線からわかること
これを相場の価格に応用したのがインジケーターの移動平均線であるが、これは、相場の方向性ばかりではなく、その傾きによって大きく分けると3つのことがわかる。
これはあくまで移動平均線の単線分析の理解のための説明である。
①上昇トレンドの傾きと下落トレンドの傾き
基本的に右肩上がりとなるが、①の図にあるようなきれいな直線は少ない。
上から価格、移動平均線の順番に並び、このことからトレンドは上向きで売買戦略は。買いということが言える。一①とは反対なのが下の左の図で右肩下がりとなる。
上から移動平均線、価格の順番で並び、価格が水準を下げていく限り、移動平均線も右肩下がりとなる。この場合、トレンドは下であり、売買戦略は売りとなる。
②上昇の加速、下落の加速
上昇の加速、下落の加速も教えてくれる。それが②の局面になる。
価格が穏やかな上昇から急な上昇に切り替わる場合、平均値を加味していくので、移動平均線の傾きも鋭角になってくる。
下落トレンドの場合も同様、穏やかな下落から急な下落へ移った場合には移動平均線の傾きも鋭角できついものとなる。
③上昇の減速、下落の減速
価格が一定期間にわたって水準を切り上げたのちに横ばいに転じる、あるいは水準を切り上げた時には必ず上昇の減速、つまりこのような傾きになる。
移動平均線の上昇が鈍化した場合にはトレンドが衰えたことを認識できる。
したがって、こういった局面で予め買いポジションを持っていた場合には、決済判断に活用できる。
また逆に鋭角な下落から下落の幅が穏やかになった場合には、移動平均線の傾きも穏やかになり、こういった局面では下落の減速を示唆する。
この局面で予め売りポジションを持っていた場合には、決済判断に活用できる。
移動平均線のパラメーター
上記の表は、代表的なパラメーターの一覧である。
日足の欄にある日数は、普段の生活になじみのある数字である。
5日は1週間、25日はの1か月、75日は3か月、200日は当初グランビルが使用していたパラメータでもあり1年間(いずれも営業日ベース)という数字である。
週足のパラメータは、一目均衡表で使用されていたパラメータであったため人気となったものである。
複数の移動平均線を用いた手法について
ここまで単線としての移動平均線の意味がわかったと思うのでより実戦的な複数本分析の代表的なものを紹介していこう。
パーフェクトオーダー
パーフェクトオーダーとは、複数の移動平均線を使い、相場の現在の状況把握や、トレンド発生を感知するテクニックの1つである。
英語にするとPerfect Orderと記述し、意味はPerfect(完全な)Order(序列・順番)というものになる。
それでは何が完全でどんな順番なのか。
これは、トレンドが発生したときチャート上に表示された違う種類の移動平均線がある特定の順番に並んでいる状態をいう。
移動平均線でよく使うパラメーターだと、25日線、50日線、75日線となるが、上昇トレンドの場合、上から短期(25日)の移動平均線、中期移動平均線(50日)、長期移動平均線(75日)の順番になる。
また、下降トレンド場合、上昇トレンドとは反対に、上から、長期移動平均線(75日)、中期移動平均線(50日)、短期(25日)の移動平均線と並ぶこととなる。
パーフェクトオーダーで何がわかるのですか。
移動平均線の複数の期間から見ても、今の価格が上がっている、下がっていると判断ができる。
要するにこのパーフェクトオーダーによってトレンドが発生したことを教えてくれることになる。
↓↓↓複数の移動平均線を用いたグランビルの法則の詳細な記事はこちら ↓↓↓
移動平均線まとめ
- 移動平均線の歴史は長く、1960年代にJEグランビルが、グランビルの投資法則として発表したのが最初である。
- 主にトレンドの方向性を示すためのトレンド指標であるが、そのほかに上昇下落の加速、上昇下落の減速なども教えてくれるものとなる。
- 日足パラメータでよく使用される数字は、普段の生活となじみのある期間を表すものばかりである。