含み益・含み損の本当の意味とその対処法について初心者にもわかりやすく解説!
「含み益」「含み損」という言葉をよく耳にしますが、その意味ついて正しく理解している方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。もし言葉の意味について理解できたとしてもそれがトレードでどの程度重要なものなのかということを正しく評価できないトレーダーも多いことも事実ですそこでこの記事では、「含み益」「含み損」の言葉の意味だけでなく、実際含み益や含み損を抱えた場合の注意点や対処法についても解説していきます。
目次
そもそも含み益と含み損の「含み」とは
まずはそれぞれの単語の意味からはいることとしよう。両方に共通しているワード「含み」とは一体どういう意味なのか。
「含み」の意味と含み益・含み損
含みとは、エントリーはしたが、実際に決済して金額が確定していない状態のことをいう。
よって、含み益・含み損とは、それぞれ「利益を含んでいる状態」「損失を含んでいる状態」のことをいう。つまり、投資行動に当てはめて解説すると、「エントリーしてまだ決済せず金額が確定していないが、利益が乗っている状態」、「エントリーしてまだ決済せず金額が確定していないが、損失の状態」のことをいう。
含み益・含み損について、言葉だけの説明ではわかりにくい部分もあるので、それぞれ上図のチャートを使って解説していきたい。
含み損の例
図の左のロングエントリーと表示された地点から買いエントリーするとしよう。価格が上昇することを見込んでロングエントリーしたものの、価格は逆に下落してしまったというとき、そのポジションは含み損を抱えることとなる。ただこの場合、ポジションを解消するような決済がまだ行われていないため、損失は確定していない。よって、今後相場の状況によってはプラスに転じる可能性があるということとなる。
含み益の例
ロングエントリーして保有していたら価格が上昇し、ポジションが含み益を抱えることとなったとする。含み損と同様に、含み益についてもポジションを解消していないため、この時点で利益は確定していない。
ここでどれだけ含み益を伸ばせるか、ポジションを保有する力を「ポジション握力」と呼ぶことがある。
おそらく多くのトレーダーがまだ投資初心者だった頃にこのポジション握力に悩まされたのではないだろうか。誰もが含み益が出ると我慢できずに決済してしまうのはとある理由があるからである。
含み益・含み損の誰もが失敗しやすい注意点
チャート下に表示される「現在のポジション一覧」に、含み益・含み益があるとすれば、どのような点に注意すべきだろうか。FXでは、1つ1つの意識の積み重ねが重要であるため、以下のポイントに注意する。
含み益を伸ばすことの難しさ
含み益を決済するのを我慢できずに利益確定してしまい、「あの時利益確定していなければ、まだ利益がまだ増えていた…」と、FX初心者に限らず誰でも後悔した経験があるのではないか。
この利益確定を我慢できない心理を理解するためには、「プロスペクト理論」を学ぶ必要がある。プロスペクト理論が何なのかを説明する前に次の例題を考えていただきたい。
それぞれのケースにおいて、もしあなたならA・Bのいずれを選ぶか。
A:100万円を確実に受け取る
B:2分の1の確率で200万円を得る、2分の1の確率で何も得られない
A:200万円の負債が確実に半分(負債100万円)になる
B:2分の1の確率で200万円の負債が無くなるが、2分の1の確率で負債は変わらない
いずれを選択するのが合理的かをはかる尺度として利用されるのが、期待値という概念である。それぞれのケースで期待値を考えてみよう。
ケース1の場合、Aの期待値はそのまま100万円、Bは200万円×1/2+0×1/2=100万円でいずれも100万円となる。
ケース2の場合、Aの期待値は100万円であり、Bは0×1/2+△200万円×1/2=△100万円となり、いずれのケースも期待値は変わらないということになる。
しかし多くの人が、ケース1では「A」ケース2では「B」を選ぶと言われている。
「プロスペクト理論」によれば、人は投資行動を取ったとき、利益が出た場合、それを減らしたくないと考え、損失が出た場合「元々負債があるのだから、無くなる可能性に賭けたい」といった心理が働くと言われている。
この人間心理があるからこそ、多くのトレーダーは含み益を伸ばせず、また含み損を損切することなくいつまでもポジションを保有してしまう。
このように、人間の投資行動のような経済活動がどんな心理に基づいて行われるかを説いた理論がプロスペクト理論である。
ぜひプロスペクト理論を念頭に置いて、含み損・含み益を正しく評価できるようになっていただきたい。
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価格が戻って含み損が回復するとは限らない
FX相場は、7割がレンジ相場だと言われている。
レンジ相場とは一定の値幅を行ったり来たりする相場のことをいい、レンジ圏内であれば、元の水準まで戻ってくる確率は非常に高い。
こういう風に言われると、含み損を抱えたとしても待てばすぐに元の水準まで戻るだろうと考えがちである。
とはいえ、レンジ相場はたまたま結果そうなったということに過ぎない。そのまま保有し続けたら含み損がさらに増え続けたという可能性だってありうることだ。含み損をいつまでも放置していれば、2013年~2021年にかけてのトルコリラ円のような際限ない下落に巻き込に従いまれることもある。
したがって、含み損をいつまでも放置しておくのはおすすめできることではない。これもプロスペクト理論に従い、早い段階で損切りするなどして対処するのが望ましいと言える。
含み益・含み損があるときの対処法
それでは含み益・含み損を抱えた時どんな方法で対処すればよいのか。それぞれの場合に分けて解説していく。
含み益がある場合
「含み益をできるだけ伸ばしたい」とは思いつつも、いざ含み益を目の当たりにすると決済したくなるものである。そこで、少しでもポジション握力を強くしたいという方に対して対処法を紹介していくこととする。
トレール注文
トレール注文とは、相場の値動きに応じて、既に設定した利益確定ラインや損切りラインを追従させる注文方法である。追従させる変動幅については任意に設定可能なので、自動で含み益を伸ばして同時にリスク管理もしたい方におすすめである。
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含み損の対処法
計画的な損切りは資金管理で重要と言われても、誰もが最初からできるわけではない。
そこで、含み損を抱えてもついつい損切りせずに、待ってしまう方向けに含み損との向き合い方・対処法について解説していく。
スワップと含み損の相殺
クロス円で相手通貨が金利の高いものであれば、ロングーのエントリーでプラススワップポイントを受け取ることができる。
含み損を抱えてしまうと精神的負担が大きいが、エントリーの方向次第では、スワップポイントと含み損の相殺も可能であるということだ。
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含み益・含み損まとめ
- 含み益・含み損とは、ポジションを持った後のいまだ決済していない利益または損失をいう。
- プロスペクト理論によれば、人間は投資行動をすると、利益は確実なところを取りたがり、損失が出た場合「元々負債があるのだから、無くなる可能性に賭けたい」といった心理が働くと言われている。よって利益を伸ばすことは難しいし、逆に損切りすることも困難である。