移動平均線3本を使った分析の活用法とは

移動平均線の3本線分析とは

一定期間の平均化した線で結び、価格変動を簡易的にとらえた移動平均線は、単線でも有用であるが、期間の異なる移動平均線を複数本表示することでさらにトレンドを細分化することが可能となる。

それでは、期間の異なる移動平均線の3本と価格の位置関係からトレンドを分類するといくつに分類できるか。答えは24とおりである。移動平均線を2本からわずか1本追加しただけで6分類からさらに細分化が可能である。しかし今回の記事ではトレンドを24分類に分けて売買タイミングや決済タイミングを捉えようとする説明ではないことを申し上げておこう。

トレンドを細分化することは結構なことだが、細かすぎたら細かすぎたでシンプルでわかりやすい移動平均線分析の利点が損なわれてしまい、実戦で活用することが難しくなってしまうことが考えられるため、少し異なる視点で3本線分析の実戦的な活用方法について述べていく。

移動平均線3本線分析の一般的なパラメータ

移動平均線の一般的なパラメータ「マックス岩本講義動画」より引用

上の表は、よく使われる一般的パラメータを列挙したものである。移動平均線の3本線分析でよく使われるものを見ていくと5日線、25日線、75日、200日線である。つまり、短期線を5日、中期線を25日、長期線を75日とする方法あるいは、短期線を25日、中期線を75日、長期線を200日とする方法もある。この両者の違いは、前者は最も短い期間が5日なので、トレンドに敏感に反応し、後者はトレンドに鈍感に反応する組み合わせとなる。

大切なのは組み合わせの良し悪しではなくて、移動平均線が価格に遅れて推移するという遅行性をしっかり理解して自分がマーケットから何を知りたいかを明確にしてパラメータを採用することに尽きる。

移動平均線3本線分析 における転換局面

移動平均線3本分析解説の図「マックス岩本講義動画」より

パラメータの異なる移動平均線3本の推移を局面別に分けたものである。具体的に黄緑色のラインが短期戦、赤色が中期線、青色が長期線を表し、説明が複雑にならないようにあえて価格は除外したものを使うこととする。

本来なら短期戦が上昇しているということは価格は短期線の上を推移しているはずだが、あえて価格は非常時とした。期間の異なる3本の移動平均線の傾きから価格の推移をイメージしながら記事を読んでもらいたい。

では、①の場面から説明していく。時系列に見ていくと、一定期間に渡ってしばらくトレンドが続いたのちに価格が下げ止まって上昇に転じ始めると①のような並びで変化していく。具体的に、下落から上昇に転じ始めた初動のタイミングは短基線が中期線を上抜けるというゴールデンクロスが確認される。

移動平均線の並びは、それまで上から長期、中期、短期であったものがこの短期と中期の線がクロスすることによっ上から長期、短期、中期へと変化する。これは、短基線と中期線のゴールデンクロスということで買いシグナルではあるが、注目すべき点はいまだ長期的なトレンドは下落トレンドであることを示唆している。

この時点でのマーケットの解釈は、短期的な視点では買い目線であり、買っていくことは決して誤りではない。

市場参加しているスイングトレーダー、つまり長期的なトレーダーの視点に立てば、いまだ売り目線で見ている人もいるということを忘れてはならない。買い方の気持ち、売り方の気持ちを両方考えていく必要がある。ということだ。

それでは価格がさらに上昇するとどうなるか。黄緑色の短期線と青の長基線のゴールデンクロスが確認される。よって並びの順としては、上から短期、長期、中期へと変化する。これは本格的な上昇局面への移行と捉えることができる。短期的な視点では買い目線、長期的な視点でも買い目線に変化する場面である。

やがて、価格の上昇に伴って、中期線と長期戦がゴールデンクロスすると、②の場面つまり、赤いラインと青いラインのゴールデンクロスとなる。ゴールデンクロス後は③の場面の並び順上から短期、中期、長期に変わり、上昇トレンドが完成する。これがいわゆる「パーフェクトオーダー」と呼ばれる局面となる。短期から中期まで買いが多数派を占めていることを示唆する客面で当然売買戦略は買いとなり、売りは禁物となる。

3本の線を用いることによって、価格を除外したとしても複数の売買タイミングがおとずれている。

①短期戦と中期線のクロス②短期戦と中期線のクロス③その後さらに価格が上昇すると②図の中期線と長期戦のゴールデンクロスである。

いずれもゴールデンクロスという上昇トレンドへの転換ということで買いシグナルということでは変わりないが、そのタイミングやその信憑性には違いがある。そのため1つずつに分けて考えて精査して採用することが重要である。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 移動平均線3本説明.png
移動平均線3本分析解説の図「マックス岩本講義動画」より

④は①の反対で上昇トレンドから下落トレンドに移行し始める初動の局面である。上昇から下落なので、段階的に2本線のデッドクロスが確認され始める。具体的には短期線と中期線のデッドクロスでこれも売りシグナルであり、その後短期線と長期線のデッドクロスが起こり、これも売りシグナルとなる。当然早ければ早いほど利幅は大きくなるが、早すぎるトレンドが若すぎるがゆえにダマシにつながる可能性がある。

④の局面からさらに下落トレンドが継続すると、⑤に移行する。ここでようやく中期線と長期線のデッドクロスが確認される。このとき価格はだいぶ下落している状態でさらに一段安となり、⑥の形になる。上から長期線、中期線、短期線となり、下落トレンドが完成形となり、「パーフェクトオーダー」となる。

重要ポイント

特に③、⑥の局面は、完成形ということを伝えたが、トレンドが強くなればなるほど各線の間隔がどんどん拡大していくので、単純に価格と移動平均線の位置関係や3本の移動平均線の傾きと位置関係ばかりでなく、各移動平均線の間隔にも注目することによって、トレンドの強さをマーケットから図ることができる。

移動平均線3本線分析 まとめ

  • 移動平均線の3本線分析のパラメータを使用するとき、重要なのはその組み合わせではなく、移動平均線の特長をしっかり理解したうえでマーケットから何を知りたいかを明らかにすることが重要。
  • 移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスは、買いシグナルや売りシグナルということに変わりはないが、そのタイミングによって信憑性が大きく変わってくることから、フェーズを考えて精査していくことが重要。
  • 移動平均線3本のパーフェクトオーダーでも、移動平均線3本の傾きや価格との位置関係ばかりではなく、間隔がどの程度あるかでマーケットのトレンドの強さを計ることができる。

最初のコメントをしよう

必須