酒田五法を使った相場分析について徹底解説
酒田五法は江戸時代の米相場の中で考案され、200年以上経過した今も、株式やFXだけでなく仮想通貨にも応用されるテクニカル分析の一つです。聞いたことはあるけど実際に使ったことはないという方も実は無意識のうちに使ったことがあるかもしれないほどシンプルなテクニカル指標です。しかし、酒田五法はこの名の通り、5つのチャートパターンから出来上がっていますが、それがさらに細分化されているので、この記事だけでは全体を説明できまん。ということで、今回は「酒田五法」の代表的な5つの相場分析方法についてFX初心者にもわかりやすいようにシンプルで標準的な方法を選んで説明します。
目次
酒田五法とは
酒田五法とは、日本発祥の相場を読むためのテクニカル分析法である。江戸時代の米相場から生まれたと言われているが、誰が考えたかは諸説あり不明である。今現在でも名を変え世界中のトレーダーに愛されているテクニカル分析法となっている。
酒田五法を使った相場分析法5パターン
酒田五法には5つのチャートパターンとして①三山(さんざん)②三川(さんせん)③三空④三兵⑤三法の5つがある。
パターン1 三山(さんざん)
まずパターン1は「三山(さんざん)」である。この「三山(さんざん)」の特徴としては、価格は上昇トレンドであったが、ある一定の水準まできてその水準を突破できず、上下を繰り返して3つの山を形成した局面である。これは、それまで続いていた上昇トレンドの勢いが止まり、天井に達したこと、つまりトレンドの転換を示唆するチャートパターであると言える。別の呼び名ではトリプルトップやヘッド&ショルダーなどの名称がついており、この名前の方が有名かもしれない。いずれにしてもこのようなチャートパターンの場合は上昇トレンドの勢いが弱まったと示唆される局面であり、買いポジションを持っている場合には注意を要する。
パターン2 三川(さんせん)
次のパターンは「三川(さんせん)」である。前述した「三山(さんざん)」の逆パターンで、3つの谷を作るのが特徴で「谷には川が流れている」という由来から「三川(さんせん)」と名づけられた。これは、下落トレンドが続いていたが、価格がある水準まできて底を打ち、3つの谷を形成した局面である。
上昇相場で3つの山ができたら「三山(さんざん)」となり下落相場で3つの谷が出現したら「三川(さんせん)」となる。上の図の赤線で引いたラインが「底(価格の底値圏)」となり、底の抵抗が強いので、3つの谷が確認できたら、下落トレンドもとまり、これから買い方の勢いが強くなるため、売りポジションを持っている場合には注意を要する局面と言える。別名「トリプルボトム」や「ヘッドアンドショルダーズボトム」とも言われ、やはり三山と同様こちらの名前のほうが有名ではないかと思われる。
パターン3 三空(さんくう)
3つ目のチャートパターンは「三空(さんくう)」である。実はこの三空は株式相場ではよく見られるもののFXではかなり珍しいチャートパターである。チャート上で連続して3回「窓開け」が発生した場合、それが下落トレンドで陰線で続けば「買い方向にトレンドが転じるサイン」で、ちなみに「窓開け」とは、直前のローソク足の終値と次のローソク足の始値が、大きく乖離した場合に発生する間隔のことである。つまり、買いの勢いが異様に強い状態だと、陽線で3回連続「窓開け」が発生し、逆に売りの勢いが異様に強い状態だと、陰線で3回連続「窓開け」が発生することがある。
要するに、非常に強い値動きを意味する「三空(さんくう)」が発生した場合、陰線であれば「強い売りの圧力」がかかっているため、売られすぎと判断され買いの方向に転換するのではないか、また陽線では「強い買いの圧力」がかかっているため、買われ過ぎと判断され売り方向に転換するのではないかと予想される。
パターン4 三兵(さんぺい)
パターンの4つ目は「三兵(さんぺい)」である。パターン3の「三空(さんくう)」に類似しているのが特長であるが、「三空(さんくう)」との決定的な違いは「窓開け」が存在しないことである。
また、これは相場がこれから反転を始めるかもしれないという方向感の予測というより、今3本の陽線と陰線が出たからトレンドがそのまま続く可能性が高いことを示唆するものであること、これが三兵だ。
上の図のように、陽線が3本続くということは買い圧力がますます強くなっており、価格の天井を探るような局面であると考えられるので、さらに上昇が見込める買いサインである。対して陰線が3本続くということは、売り圧力がますます強くなっており、底値を探るような局面であると考えられるので、さらに下落していくことが見込める売りサインである。
特に、ここまでのパターンの中で酒田五法の反転のサイン(三山・三川)と三兵を組み合わせて考えると、さらにエントリー根拠の信憑性が高まる。
パターン5 三法(さんぽう)
最後パターンは「三法(さんぽう)」である。「三法(さんぽう)」は、まず「大陰線」あるいは「大陽線」が発生し、そのあと、陰線、陽線の3本の短いローソク足が出現し、最後に「大陰線」「大陽線」が出現する。
少しわかりにくいので、詳細に説明する。
1 最初に「大陰線」が出現する。
2 3本の短いローソク足が出現(陰線・陽線どちらでも問題はない)
3 再度「大陰線」が出現し、その大陰線は最初に出現した「大陰線の終値を下抜いた。
4 その後は、さらに価格が下落することが予測される。
1 最初に「大陽線」が出現する
2 3本の短いローソク足が出現(陰線・陽線どちらでも問題はない)
3 再度「大陽線」が出現し、その大陽線は最初に出現した「大陽線」の終値を上抜いた。
4 その後は、価格がさらに上昇していくことが予測される
酒田五法を使った相場分析 まとめ
- 「酒田五法」は、そのものを意識しなくても、別の名前で同じものが存在するからだ。特に「三山(さんざん)」「三川(さんせん)」などは「ヘッドアンドショルダー」「トリプルボトム」といった別名称でトレーダーの間で愛用者も多い。
- 今回紹介した記事は、酒田五法の代表的なものに過ぎず例えば「三川(さんせん)」には、ここのパターンのほかに「三川明けの明星」「三川宵の明星」「陰の両つつみ」「陽の両つつみ」「陰の三つ星」「流れ星」「つばめ返し」などが存在する。
- この記事の中の酒田五法のパターンは、1つ1つの形で使うとなると、エントリー根拠の薄いものとなるため、酒田五法のパターンを複数組み合わせて根拠(エビデンス)の精度を上げることを心掛けるべきである。