FXの勝率上昇するゴトー日と仲値とは?それらを解説します!
相場の価格が上昇するか、下落するのか、は統計的な観点から言えば、確率は二分の一です。だからこそトレーダーは、様々な分析手法で、少しでも予想確率を高めようとしていますしかし、ある事象が発生すると、上昇・下落の力の均衡が崩れる局面がやってきます。その局面になると、非常に相場の動きが予測しやすくなります。この記事では、その事象と深い関わりを持つ「ゴトー日」と「仲値」について、詳しく解説していきます。
目次
FXゴトー日とは
まず最初にメインとなるテーマについてお話しする前にFX相場の特徴について述べておこう。
FX相場の特徴
FX相場の最大の特徴は、値動きの7割がレンジ相場である。つまり、一定の範囲をレートが行ったり来たりする相場が大半だということだ。
ドル円を例にとると、たいていの人がレート110円前後をイメージすると考えられている。なぜなら、ドル円の相場が長年にわたってある価格帯を行ったり来たりすることで、イメージ的にその価格という意識が定着したためと思われる。
価格が上昇するか下落するかの確率は50%
ある局面から見て、これから価格が上昇するのか、下落するのか、その確率は、ほぼ50%であることについては、何となく想像できると思う。しかし実際にこの考えは正しく、チャート分析に関する不滅の名著『ウォール街のランダムウォーカー』では、次のように述べられている。
チャート上の値動きは予測不可能で、常に不規則。決まった方向性はない。どんなに凄腕のトレーダーであっても、確実に予測することはできず、最終的にその勝敗は半々に収束する。
『ウォール街のランダムウォーカー』より引用
時間軸が長期、短期にかかわらず、価格がこれから上昇するか下降するか両方の可能性があり、統計や分析によって将来の値動きを予測不可能であると断言されている。
FXゴトー日の本質
ゴトー日とは、「5」「10」を含む営業日を意味する言葉である。FXトレーダーの中では、意識される日となる。
これは、銀行や輸出産業が、このゴトー日に実需の取引を行うからである。(実需の取引とは、為替取引による利益を得ることが目的ではない取引のことをいう。)
例えば、iPhoneで有名なアップルはアメリカの企業である。日本での売上を自国の通貨の米ドルに両替する際は、実需の取引によって米ドルに戻すことを行う。
また米ドルは基軸通貨の役割を担っているので、ゴトー日になると米ドルを介して通貨の両替が行われるため、当然米ドルの需要が高まることとなる。
では、このゴトー日によって、為替相場はどのように変動していくのだろうか。それについて解説するにはまず「仲値」という考え方を知っておく必要がある。
FXゴトー日理解に欠かせないFXの仲値とは
仲値とは、銀行などの金融機関が円を外貨に両替するときの為替レートのことをいう。具体的には、東京時間の午前9時55分の為替レートを基に決定される。
仲値で決定されたレートを基準にしてその日の取引が行われることになる。よって、例えば1ドル110円として仲値が決定されると、その日は通して1ドル110円の取引となる。
基本的にはその日ずっと決められた仲値が使われることとなるが、為替レートの突発的な変動で仲直からの値幅が1円以上の差になった場合、「公表停止」となり、改めて仲値が決められる。
FXゴトー日の値動きをチェックし、仲値に注目する
ゴトー日は企業の決済日に当たり、ドルが大量に必要になってくる。ゴトー日は仲値に注目すると述べたが、そのドル需要はその仲値が決まる午前9時55分に向かいだんだんと高まってくる。
例えば、2022年1月25日のチャートを見てみよう。
このチャートの通り、早朝から仲値の決まる9時55分に向かって大きな上昇トレンドが確認できる。
ただし注意したいのは、仲値が決まる9時55分が天井になるとは限らない、ということだ。
つまり、上昇トレンドの転換点が、仲値ちょうどになることもあるし、数時間前倒しになることもあるということだ。
これがゴトー日と仲値を用いたトレード方法だ
FX相場が上昇するか下落するかの確率は50%・50%である、と述べた。しかしこの理論を覆すような論文があるのでここで紹介しよう。
それによれば、仲値が決まるタイミング(午前9時55分)を基準として、N時間前にエントリーした場合、ドル円が上昇する確率は以下表の通りとなるということだ。
「国内輸入に伴う貿易通貨比率とゴトオビアノマリーの関係」
金曜日でなく、ゴトー日でもない日の場合、ドル円が上昇する確率は、エントリーするタイミングに関わらずほぼ50%になっていることがわかる。(「通常日(Ⅰ)」)しかし、金曜日かつゴトー日(「金曜日かつゴトオビ(Ⅳ)」)はどうか。例えば仲値が決まる7時間前(午前3時ごろ)にエントリーした場合、上昇する確率が65%になり、通常時より15%も高い確率で優位性を持つことが分かる。
AM3:00~AM5:00時に出現する押し目を狙う手法
先ほどの表を見てみると、仲直の5~7時間前にエントリーすることで、より上昇する確率が高まり、より高い優位性を取ることができることがわかった。
先程の表に従い、仲値が決定する午前9時50分から逆算して7時間前となると、午前3時~午前5時のエントリーが最適ということになる。またその際に押し目があれば、なおさら良いということになる。
では実際にゴトー日かつ金曜日であった2021年11月15日のチャートを見てみよう。
このチャートを見る限り、仲値に向かって上昇トレンドになっていることがわかる。AM3時~AM5時あたりでエントリーをすれば、仲値が決定するAM9時~AM10時に向けて大きな値幅を獲得できたことになる。
直近1年ほど遡って、この手法を検証してみたが勝率も高いことがわかった。これで、論文と手法としての有効性と信頼性も十分であるということがはっきりした。
金曜日かつゴトー日の早朝に、(概ね午前3時~午前5時までの間)のロングエントリーをするのみの手法となるので、初心者の方でも実践できる。
FXゴトー日を狙ったトレードの注意点
確かに優位性が通常より増すことははっきりした。しかし次の2点よりこればかりに頼ったトレードは禁物だということも言える。
テクニカル的に信頼性が低いこと
テクニカル分析をメインとするトレーダーの方々からは、評価が低いと思われる。なぜなら、テクニカル分析はチャート上の情報を基本にして値動きを予想するものであるので、ゴトー日狙いのトレードは一種のアノマリーとも考えられるため、である。
またテクニカルトレーダーがゴトー日ばかりにこだわってしまうと、日頃から鍛えたトレード勘に迷いが生じることとなる。
ゴトー日ねらいのトレードは、自分のメインとする手法を動かさずにあくまで目安程度で活用したいところだ。
必ず上昇するとは限らないということ
金曜かつゴトー日では、仲値までに上昇する確率は65%、一日を通しても平均で60%の確率で上昇することが明らかである。
通常時の上昇確率(50%)と比べると、かなり優位性があると言える。しかし、逆説的に考えれば、40%の確率で下落するという見方もある。これはあくまで統計的に見たうえでの話である。確かに仲値が決まるまではドル円が上がりやすく、仲値が決まった後は下がりやすい傾向があることは明らかであるが、必ずこのパターンになるとは限らないということを念頭においてトレードすべきだ。
FXゴトー日まとめ
ゴトー日は、世界中の企業や銀行の決済が集中する日であり、しかもそれが大量であるため、決済通貨である米ドルの需要が高まり、チャート上に反映されるという理論である。他の日よりも優位性が高まるため、勝率も高くなる可能性がある。しかし、アノマリー的な要素も多分にあることから、過信は禁物である。例えば、エントリーするかどうか根拠が見つからないときなどの根拠の1つとして加えるなど参考程度に留めておくのが最適と考える。