FXの窓とは何か。窓開け・窓埋めが起こる理由とそれらを使った手法について解説
「窓開け」もしくは「窓埋め」は、株取引の経験のある方ならよくご存知の現象だと思いますが、FXではあまりなじみがないかもしれません。といいますのも、窓開け及び窓埋めは株式チャートでは頻繁に登場しますが、FXでは決まった時期にしか登場しないからです。株式市場で起こるものとFXで起こるものとは多少の違いはあっても本質は変わりません。ただ、その現象がどうして起こるのか、というところまで説明できる方それほど多くないと思います。
この記事では、「窓開け」「窓埋め」の正体について解説していきます。
目次
FXの「窓」とは
「窓開け」とは、チャートのローソク足の間に「窓」が開くようにできる隙間のことをいう。普段からFXをトレードしている人でも、あまり見かけないという方がいるかもしれない。株式のトレードでは頻繁に出現するが、FXの窓はトレード中に現われるのは稀で一定の時間帯しか現われないものだからである。
FXの「窓」の出現する時間帯
窓はどんな時に出現するかというと、市場が閉まる金曜日の夜 (土曜日の朝) の終値から、市場が開く月曜日の朝の始値の価格差で発生することが非常に多い。言い換えれば、市場取引が始まる月曜日の朝に多く見られる現象である。
「窓開け」を実際のチャートで確認してみよう。
窓開けが起きる理由とは
前述したように基本的にはFXで窓開けが起こるのは稀なことである。
それではなぜ窓開けが起きるのだろうか。窓開けが起きる理由には、以下2つが考えられる。
- ファンダメンタルズによるもの
- 主要取引所が閉まっているときのトレードによるもの
以下詳細に説明していく。
ファンダメンタルズによるもの
ファンダメンタルズとは、一般的には「経済の基礎的条件」と訳されている。FXで注目される各種経済指標のことである。有名なものでは、失業率や就業者数などの雇用統計指標があるが、広く捉えれば、各国の要人発言もファンダメンタルズに含めることができる。
基本的にはトレードができない土日に重要指標は発表されないが、土日に要人発言があったり、週末の間に大きなニュースが出たりした場合に相場への影響が見られる場合がある。他にも、地政学的リスクの発生や重要な議論の結果が出ることもある。つまり、トレードのできない土日に何らかの市場へのインパクトがあった場合である。
このような場合、世界で最も早く開くウェリントン市場(ニュージーランド)などにトレーダーの注文・決済が集中することで相場が大きく動き、窓開けが起こると考えられる。
主要取引所が閉まっているときのトレードによるもの
窓開けは市場へのインパクトがある場合だけに起きる現象ではない。
土日というのは、全世界の為替市場が一斉に完全停止しているわけではないからである。
日本や欧米諸国など土日を休日としている国々の市場が止まっているとしても土日を休日しない国では為替取引が行われている。たとえば中東のバーレーン市場では土日を休日としていないため、その国のトレーダーはその間に取引が可能となる。
よって、土日に行われるバーレーン市場でのトレードで、相場が大きく変動すると窓開けが起きるのである。
窓開けの種類
FXにおける窓開けには以下2種類がある。
- ギャップアップ(上窓)
- ギャップダウン(下窓)
それぞれどのようなものか確認していく。
ギャップアップ(上窓)
ギャップアップとは上図のように、ローソク足の始まりが間隔を開けて上方向に離れてしまっている状態のことをいう。つまり、窓開けが起こる直前のローソク足よりも高い価格で、市場開始後のローソク足が始まっているものをいう。
上窓とは、ローソク足が上方向に離れて間に空間ができてしまっている状態の、その空間のことをいう。
これはつまり、土日に市場参加した人達の買いの勢いが非常に強くなったために買値が決定されず月曜日の朝の開始で高い位置の買値になったものと思われる。もしも週末の金曜日に売りポジションを保有していて持ち越していたなら月曜日の朝に利益を減らすばかりか損失にもなりかねないので、週末からのポジションの持越しには注意を要する。
ギャップダウン(下窓)
ギャップダウンは、ギャップアップの逆で、窓開けが起こる直前のローソク足よりも低い価格で、市場開始後のローソク足が始まっているものをいう。
先ほどのギャップアップと対比して考えると、土日の間に市場参加者の売り勢いが非常に強い状態になり、値が決まらず月曜日の朝の市場開始と同時に週末の金曜日よりも低い位置でのローソク足になったということだ。こちらもギャップアップと同様に、買いエントリーのポジションを保有したまま月曜日を迎えると、利益を減らすばかりではなく、ギャップの大きさによってはかなりの損失になってしまうことになるため注意を要する。
窓は埋められる
相場格言に「窓は埋められる」というものがある。一度窓開けが発生すると、その後にその空間を埋めるように、元のレート(価格)に戻ろうとする現象が起こる。このことを窓埋めという。よく発生する現象なので覚えておくと役に立つかもしれない。
FXの「窓」まとめ
- FX窓には2種類ある。窓開けが起こる直前のローソク足よりも高い価格で、市場開始後のローソク足が始まっているもので上窓と呼ばれるものと上窓とは逆で窓開けが起こる直前のローソク足よりも低い価格で、市場開始後のローソク足が始まっているもので下窓と呼ばれるものである。
- 月曜日の朝に発生することが多いことから、週末からのポジションの持越しには注意を要する。
- 空いた窓は必ず埋められるの格言通り、窓を埋めようとする市場の動きもあることにも注意を要する。